ネットワークの手動環境設定

ネットワークソフトウェアの手動環境設定は、常に最後の手段です。設定には可能な限りYaSTを使用してください。しかし、ネットワークの環境設定に関する背景知識がYaSTでの設定作業に役立つことがあります。

すべての内蔵式のネットワークカードおよびホットプラグのネットワークカード(PCMCIA、USB、一部のPCIカード)は、hotplugによって検出され、設定されます。システムは、ネットワークカードを物理デバイスとインタフェースの2種類の方法で参照します。デバイスが挿入または検出されると、ホットプラグイベントが生成されます。このホットプラグイベントによって、hwupスクリプトが実行され、デバイスが初期化されます。ネットワークカードが新しいネットワークインタフェースとして初期化されると、カーネルによって別のホットプラグイベントが生成され、それにより/sbin/ifupが実行されてインタフェースがセットアップされます。

カーネルは、登録順に従ってインタフェース名に番号を付けます。割り当てられる名前は、初期化の順序によって決まります。あるネットワークカードの初期化に失敗した場合、その後に初期化されるカードの番号は1つずつずらされます。実際のホットプラグ対応カードでは、デバイスを接続する順序が重要になります。

柔軟な環境設定を可能にするために、デバイス(ハードウェア)の環境設定とインタフェースの環境設定は切り分けられ、デバイスの環境設定とインタフェースの環境設定のマッピングをインタフェース名で管理する方式は廃止されました。デバイスの環境設定は、/etc/sysconfig/hardware/hwcfg-*に格納されます。インタフェースの環境設定は、/etc/sysconfig/network/ifcfg-*に格納されます。これらの環境設定ファイルには、そのファイルに関連付けられるデバイスまたはインタフェースを表す名前が付けられます。ドライバをインタフェース名にマッピングする従来の方式では静的なインタフェース名が必要なため、このマッピングを/etc/modprobe.confで行うことはできなくなりました。この新しい方式では、このファイルにエイリアスエントリが設定されていると、好ましくない副作用が発生することがあります。

環境設定名、すなわち、hwcfg-またはifcfg-の後の部分では、スロット、デバイス固有のID、インタフェース名などでデバイスを表します。たとえば、PCIカードの環境設定名は、bus-pci-0000:02:01.0 (PCIスロット)、vpid-0x8086-0x1014-0x0549 (メーカー名と製品ID)などになります。対応するインタフェース名は、bus-pci-0000:02:01.0wlan-id-00:05:4e:42:31:7a (MACアドレス)などになります。

特定のカードではなく特定のタイプのカードにネットワークの環境設定を割り当てる場合は(ただし、同じタイプのカードを同時に2枚以上は装着しない)、もう少し汎用的な設定名を選択します。たとえば、すべてのPCMCIAカードに対してbus-pcmciaという設定名を使用できます。一方、先頭にインタフェースタイプが付いた限定的な設定名も使用できます。たとえば、USBポートに接続するWLANカードにはwlan-bus-usbという設定名を付けることができます。

システムは常に、インタフェースまたはそのインタフェースを提供するデバイスに最適な環境設定を使用します。最適な環境設定の検索は、getcfgによって行われます。getcfgの出力には、デバイスを記述するために使用できるすべての情報が含まれています。環境設定名の指定の詳細については、getcfgのマニュアルページを参照してください。

この方法により、ネットワークデバイスは常に同じ順序で初期化されるとは限りませんが、ネットワークインタフェースは適切に設定されます。ただし、インタフェース名は、やはり初期化の順序によって決まります。特定のネットワークカードのインタフェースに確実にアクセスするには、次の2とおりの方法があります。

ifupはハードウェアを初期化しないため、すでに存在しているインタフェースを必要とします。ハードウェアの初期化は、hwupコマンドによって行われます(このコマンドはhotplugまたはcoldplugによって実行されます)。デバイスが初期化されると、hotplugによってifup が新しいインタフェースに対して自動的に実行され、実行モードがonboothotplug、またはautoでありnetworkサービスが既に起動していれば、インタフェースがセットアップされます。従来は、ifup インタフェース名コマンドによってハードウェアの初期化が行われていましたが、新しいバージョンでは処理順序が逆になりました。はじめに、ハードウェアコンポーネントを初期化してから、その他の処理が行われます。この方法により、可変数のデバイスを、既存の環境設定を用いてできる限り最適な方法で設定できます。

表 30.5. 「手動ネットワーク環境設定用スクリプト」に、ネットワークの環境設定関連の最も重要なスクリプトをまとめます。各スクリプトはハードウェアとインタフェースに分類してあります。

表 30.5. 手動ネットワーク環境設定用スクリプト

環境設定段階

コマンド

機能

ハードウェア

hw{up,down,status}

hw*スクリプトは、ホットプラグサブシステムによって実行され、デバイスの初期化、初期化の取り消し、デバイスのステータスの問い合わせを行います。詳細は、hwupのマニュアルページを参照してください。

インタフェース

getcfg

getcfgは、環境設定名またはハードウェア記述に対応するインタフェース名の問い合わせに使用します。詳細は、getcfgのマニュアルページを参照してください。

インタフェース

if{up,down,status}

if*スクリプトは、既存のネットワークインタフェースを起動したり、指定のインタフェースのステータスを表示したりします。詳細は、ifupのマニュアルページを参照してください。


ホットプラグおよび固定的なデバイス名の詳細については、第24章 udevを使用した動的カーネルデバイス管理を参照してください。

環境設定ファイル

ここでは、ネットワークの環境設定ファイルの概要を紹介し、その目的と使用される形式について説明します。

/etc/syconfig/hardware/hwcfg-*

これらのファイルには、ネットワークカードおよびその他のデバイスのハードウェアの環境設定が記述されています。これには、カーネルモジュール、実行モード、スクリプトの関連付けなどの必要なパラメータが含まれます。詳細については、hwupのマニュアルページを参照してください。存在しているハードウェアとは無関係に、coldplugの起動時にはhwcfg-static-*が適用されます。

/etc/sysconfig/network/ifcfg-*

これらのファイルには、ネットワークインタフェースの環境設定が記述されています。これには、実行モード、IPアドレスなどが含まれます。指定可能なパラメータについては、ifupのマニュアルページを参照してください。また、一般的設定を1つのインタフェースだけに使用する場合は、dhcpwireless、およびconfigの各ファイルにあるすべての変数が、ifcfg-*ファイルで使用されます。

►zseries: IBM System zは、USBをサポートしていません。インタフェースファイル名とネットワークエイリアスには、qethのようにSystem z固有の要素が含まれます。

/etc/sysconfig/network/{config,dhcp,wireless}

configファイルには、ifupifdown、およびifstatusの動作に関する汎用的な設定が記述されています。また、dhcpにはDHCPの設定が、wirelessには無線LANカードの設定が記述されています。これら3つの環境設定ファイルの変数にはコメントが付けられており、優先度の高い変数としてifcfg-*ファイルでも使用できます。

/etc/sysconfig/network/{routes,ifroute-*}

TCP/IPパケットの静的ルーティングが設定されています。ホストへのルート、ゲートウェイ経由のホストへのルート、およびネットワークへのルートなど、さまざまなシステムタスクが必要とするすべての静的ルートは、/etc/sysconfig/network/routesファイルに指定できます。個別のルーティングが必要な各インタフェースにタイして、付加環境設定ファイル/etc/sysconfig/network/ifroute-*を定義します。*はイン^フェース名で読み替えてください。経路の環境設定ファイルのエントリは次のようになります。

# Destination     Dummy/Gateway     Netmask            Device
#
127.0.0.0         0.0.0.0           255.255.255.0      lo
204.127.235.0     0.0.0.0           255.255.255.0      eth0
default           204.127.235.41    0.0.0.0            eth0
207.68.156.51     207.68.145.45     255.255.255.255    eth1
192.168.0.0       207.68.156.51     255.255.0.0        eth1

第1列は、経路の宛先です。この列には、ネットワークまたはホストのIPアドレスが入ります。到達可能なネームサーバの場合は、完全に修飾されたネットワークまたはホスト名が入ります。

第2列は、デフォルトゲートウェイ、すなわちホストまたはネットワークにアクセスする際に経由するゲートウェイです。第3列は、ゲートウェイの背後にあるネットワークまたはホストのネットマスクです。たとえば、ゲートウェイの背後にあるホストのネットマスクは、255.255.255.255になります。

最後の列は、ローカルホスト(ループバック、イーサネット、ISDN、PPP、ダミーデバイスなど)に接続されたネットワークのみに関連します。ここには、デバイス名を指定する必要があります。

(オプションの) 5番目のコラムには、経路のタイプを指定することができます。必要ではないコラムには、マイナス記号-を記入してください。これは、パーサがコマンドを正しく解釈できるようにするためです。詳細は、routes(5)マニュアルページを参照してください。

/etc/resolv.conf

このファイルには、ホストが属するドメインが指定されています(キーワードsearch)。また、アクセスするネームサーバアドレスのステータスのリストも記述されています(キーワードnameserver)。ドメイン名は複数指定することができます。完全修飾でない名前を解決する場合は、searchの各エントリを付加して完全修飾名の生成が試みられます。複数のネームサーバを使用するには、nameserverで始まる行を複数行入力します。#記号の後に記入します。YaSTは、指定されているネームサーバをこのファイルに記述します。例 30.5. 「/etc/resolv.conf/etc/resolv.confの例を示します。

例 30.5. /etc/resolv.conf


# Our domain
search example.com
#
# We use sun (192.168.0.20) as nameserver
nameserver 192.168.0.20

pppd (wvdial)、ipppd (isdn)、dhcp (dhcpcddhclient)、pcmciahotplugなどの一部のサービスは、スクリプトmodify_resolvconfを使用してファイル/etc/resolv.confに変更を加えます。ファイル/etc/resolv.confがこのスクリプトによって一時的に変更された場合、変更を加えたサービス、元のファイルがバックアップされている場所、および自動変更メカニズムを無効にする方法を示す事前定義のコメントが付されます。/etc/resolv.confが複数回変更された場合、ファイルには変更内容がネスト形式で保存されます。変更が行われた順序と異なる順序で復元を行った場合も、問題なく元通りに復元できます。このような柔軟性を必要とするサービスには、isdnpcmcia、およびhotplugがあります。

サービスが通常のクリーンな状態で停止しなかった場合、modify_resolvconfを使用して元のファイルを復元することができます。また、システムブート時に、クリーンアップされていない変更されたresolv.confが存在しないかが確認され(たとえば、システムクラッシュがあった場合)、存在する場合は、元の(変更されていない) resolv.confが復元されます。

YaSTは、modify_resolvconfcheckコマンドを使用して、resolv.confが変更されているかどうかを確認し、ユーザに対してファイルの復元後は変更内容が失われることを警告します。YaSTはこれ以外の作業でmodify_resolvconfに依存しないため、YaSTを使用してresolv.confを変更した場合の影響は、手動で変更した場合と同じです。どちらの場合も、変更は永久に有効です。一方、前述のサービスによって要求された変更は、一時的に有効なだけです。

/etc/hosts

このファイル(例 30.6. 「/etc/hostsを参照)では、IIPアドレスがホスト名に割り当てられています。ネームサーバが実装されていない場合は、IP接続をセットアップするすべてのホストをここにリストする必要があります。ファイルには、各ホストについて1行を入力し、IPアドレス、完全修飾ホスト名、およびホスト名を指定します。IPアドレスは、行頭に指定し、各エントリはブランクとタブで区切ります。コメントは常に#記号の後に記入します。

例 30.6. /etc/hosts



127.0.0.1 localhost
192.168.0.20 sun.example.com sun
192.168.0.1 earth.example.com earth

/etc/networks

このファイルには、ネットワーク名とネットワークアドレスの対応が記述されています。形式は、ネットワーク名をアドレスの前に指定すること以外は、hostsファイルと同様です。詳細については、例 30.7. 「/etc/networksを参照してください。

例 30.7. /etc/networks



loopback     127.0.0.0
localnet     192.168.0.0

/etc/host.conf

名前解決(リゾルバライブラリを介したホストおよびネットワーク名の解釈)は、このファイルにより制御されます。このファイルは、libc4またはlibc5にリンクされているプログラムについてのみ使用されます。最新のglibcプログラムについては、/etc/nsswitch.confの設定を参照してください。パラメータは、その行内で常に独立しています。コメントは#記号の後に記入します。表 30.6. 「/etc/host.confファイルのパラメータ」に、利用可能なパラメータを示します。/etc/host.confの例については、例 30.8. 「 /etc/host.confを参照してください。

表 30.6. /etc/host.confファイルのパラメータ

order hosts,bind

名前の解決の際、サービスがアクセスされる順序を指定します。有効な引数は次のとおりです(空白またはカンマで区切ります)。

hosts:/etc/hostsファイルを検索します。

bind:ネームサーバにアクセスします。

nis:NISを使用します。

multi on/off

/etc/hostsに指定されているホストが、複数のIPアドレスを持てるかどうかを定義します。

nospoof on spoofalert on/off

これらのパラメータは、ネームサーバspoofingに影響を与えますが、それ以外のネットワークの環境設定に対してまったく影響を与えません。

trim domainname

ホスト名が解決された後、指定したドメイン名をホスト名から切り離します(ホスト名にドメイン名が含まれている場合)。このオプションは、ローカルドメインにある名前だけが/etc/hostsファイルに指定されているが、付加されるドメイン名でも認識する必要がある場合に便利です。


例 30.8. /etc/host.conf



# We have named running
order hosts bind
# Allow multiple addrs
multi on

/etc/nsswitch.conf

GNU C Library 2.0を導入すると、Name Service Switch (NSS)も合わせて導入されます。詳細については、nsswitch.conf(5) manページおよび『The GNU C Library Reference Manual』を参照してください。

クエリの順序は、ファイル/etc/nsswitch.confで定義します。nsswitch.confの例については、を参照してください。例 30.9. 「/etc/nsswitch.confコメントは#記号の後に記入します。この例では、hostsデータベースの下のエントリは、要求がDNSを介して、/etc/hosts(files)に送信されることを意味しています(第33章 ドメインネームシステム参照)。

例 30.9. /etc/nsswitch.conf



passwd:     compat
group:      compat

hosts:      files dns
networks:   files dns

services:   db files
protocols:  db files

netgroup:   files
automount:  files nis

NSSで利用できる「データベース」については、表 30.7. 「/etc/nsswitch.confで利用できるデータベース」を参照してください。それらに加えて、automountbootparamsnetmasks、およびpublickeyが近い将来導入される予定です。 NSSデータベースの環境設定オプションについては、表 30.8. 「NSS 「データベース」の環境設定オプション」を参照してください。

表 30.7. /etc/nsswitch.confで利用できるデータベース

aliases

sendmailによって実行されたメールエイリアス。man 5 aliasesコマンドで、マニュアルページを参照してください。

ethers

イーサネットアドレス。

group (グループ)

getgrentがユーザグループを調べるとき使用します。groupのマニュアルページも参照してください。

hosts

gethostbynameおよび同類の関数によって使用されるホスト名とIPアドレス。

netgroup

アクセス許可を制御するための、ネットワーク内にある有効なホストとユーザのリスト。netgroup(5) manページを参照してください。

networks

ネットワーク名とアドレス。 getnetentによって使用されます。

passwd

ユーザパスワード。getpwentによって使用されます。passwd(5) manページを参照してください。

protocols

ネットワークプロトコル。getprotoentによって使用されます。protocols(5) manページを参照してください。

rpc

リモートプロシージャコール名とアドレス。 getrpcbynameおよび同様の関数によって使用されます。

services

ネットワークサービス。getserventによって使用されます。

shadow

ユーザのシャドウパスワード。getspnamによって使用されます。shadow(5) manページを参照してください。


表 30.8. NSS 「データベース」の環境設定オプション

ファイル

たとえば/etc/aliasesのような直接アクセスファイル。

db

データベース経由のアクセス。

nisnisplus

NIS。第35章 NISの使用を参照。

dns

hostsおよびnetworksの拡張としてのみ使用できます。

compat

passwdshadow、およびgroupの拡張としてのみ使用できます。


/etc/nscd.conf

このファイルは、nscd (name service cache daemon)の環境設定に使用します。nscd(8)およびnscd.conf(5) manページを参照してください。デフォルトでは、nscdによってpasswdgroupsのシステムエントリがキャッシュされます。キャッシュが行われないと名前やグループにアクセスするたびにネットワーク接続が必要になるため、このキャッシュ処理は NIS や LDAP といったディレクトリサービスのパフォーマンスに関して重要な意味を持ちます。hostsはデフォルトではキャッシュされません。 これは、nscd でホストをキャッシュすると、ローカルシステムで正引き参照と逆引き参照のルックアップチェックを信頼できなくなるからです。したがって、nscdを使用して名前をキャッシュするのではなく、キャッシュDNSサーバをセットアップします。

passwdオプションのキャッシュを有効にすると、新しく追加したローカルユーザが認識されるまで、通常、約15秒かかります。この待ち時間を短縮するには、コマンドrcnscdrestartを使用してnscdを再起動します。

/etc/HOSTNAME

このファイルには、ドメイン名の付いていないホスト名が記述されています。このファイルは、マシンの起動時に複数のスクリプトによって読み込まれます。指定できるのは、ホスト名が設定されている1行のみです。

設定のテスト

設定内容を設定ファイルに書き込む前に、それをテストすることができます。テスト環境を設定するには、ipコマンドを使用します。接続をテストするには、pingコマンドを使用します。また、以前の設定ツールのifconfigrouteも使用することができます。

ipifconfig、およびrouteコマンドは、ネットワーク設定を直接変更します。ただし、設定ファイルに変更内容は保存されません。正しい設定ファイルに変更内容を保存しない限り、変更したネットワーク設定は再起動時に失われてしまいます。

ipコマンドを使ったネットワークインタフェースの設定

ipは、ルーティング、ネットワークデバイス、ルーティングポリシー、およびトンネルに関する設定を行ったり、設定内容を表示したりするコマンドです。ipは、以前のifconfigコマンド、およびrouteコマンドに代わるコマンドとして設計されました。

ipは非常に複雑なツールです。一般的には、ipoptionsobjectcommandの形式で指定します。objectの部分には、次のオブジェクトを指定することができます。

リンク

ネットワークデバイスを表します。

アドレス

デバイスのIPアドレスを表します。

neighbour

ARPまたはNDISCキャッシュエントリを表します。

route

ルーティングテーブルエントリを表します。

ルール

ルーティングポリシーデータベース中のルールを表します。

maddress

マルチキャストアドレスを表します。

mroute

マルチキャストルーティングキャッシュエントリを表します。

tunnel

IPトンネルを表します。

commandの部分に何も指定しないと、デフォルトのコマンド(通常はlist)が使用されます。

デバイスの状態を変更するには、ip link setdevice_name commandコマンドを使用します。たとえば、デバイスeth0を無効にするには、ip link seteth0 downを実行します。このデバイスを有効にする場合は、ip link seteth0 upを実行します。

デバイスを有効にしたら、そのデバイスを設定することができます。デバイスのIPアドレスを使用する場合は、ip addr addip_address + dev device_nameを使用します。たとえば、インタフェースeth0にアドレス「 192.168.12.154/30」を設定し、標準のブロードキャスト(brdオプション)を使用する場合は、ip addradd 192.168.12.154/30 brd + dev eth0と入力します。

実際に利用できる接続を作成するには、デフォルトのゲートウェイも設定する必要があります。ゲートウェイを設定するには、ip route getgateway_ip_addressと入力します。あるIPアドレスを別のIPアドレスに変換するには、nat: ip route add nat ip_address via other_ip_addressを使用します。

すべてのデバイスを表示する場合は、ip link lsを使用します。動作しているインタフェースだけを表示する場合は、ip link ls upを使用します。デバイスのインタフェース統計情報を印刷する場合は、ip -s link lsdevice_nameと入力します。デバイスのアドレスを表示する場合は、ip addrと入力します。ip addrの出力には、デバイスのMACアドレスに関する情報も表示されます。すべてのルートを表示する場合は、ip route showを使用します。

ipの使用方法の詳細は、iphelpを入力するか、またはip(8)マニュアルページを参照してください。helpオプションは、すべてのipオブジェクトで利用することができます。たとえば、ip addrに関するヘルプを表示する場合は、「ipaddr help」と入力します。ipのマニュアルは、/usr/share/doc/packages/iproute2/ip-cref.pdfに用意されています。

pingを使った接続のテスト

pingコマンドは、TCP/IP接続が正常に動作しているかどうかを調べるための、標準ツールです。pingコマンドはICMPプロトコルを使って、小さなデータパケットECHO_REQUESTデータグラムを、宛先ホストに送信し、即時応答を要求します。この作業が成功した場合、pingコマンドは、その結果を知らせるメッセージを表示します。 これは、ネットワークリンクが基本的に機能していることを意味します。

pingは、2台のコンピュータ間の接続をテストするだけでなく、接続品質に関する基本的な情報も提供します。ping例 30.10. 「pingコマンドの出力」コマンドの実行結果例は、を参照してください。2番目の行から最後の行には、転送パケット数、失われたパケット数、およびpingの実行時間の合計が記載されています。

pingの宛先には、ホスト名またはIPアドレスを指定することができます。たとえば、pingexample.comping130.57.5.75のように指定します。pingコマンドを実行すると、Ctrl+Cキーを押すまでの間、継続的にパケットが送信されます。

接続されているかどうかを確認するだけで良い場合は、-cオプションを使って送信するパケット数を指定することができます。たとえば、パケットを 3つだけ送信する場合は、ping-c 3 192.168.0を入力します。

例 30.10. pingコマンドの出力

ping -c 3 example.com
PING example.com (130.57.5.75) 56(84) bytes of data.
64 bytes from example.com (130.57.5.75): icmp_seq=1 ttl=49 time=188 ms
64 bytes from example.com (130.57.5.75): icmp_seq=2 ttl=49 time=184 ms
64 bytes from example.com (130.57.5.75): icmp_seq=3 ttl=49 time=183 ms
--- example.com ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2007ms
rtt min/avg/max/mdev = 183.417/185.447/188.259/2.052 ms

デフォルトでは、pingは1秒ごとにパケットを送信します。送信間隔を変更するには、-iオプションを指定します。たとえば、 10秒ごとにパケットを送信する場合は、ping-i 10 192.168.0を入力します。

複数のネットワークデバイスを持つシステムの場合、特定のインタフェースアドレスを指定してpingを実行することができます。インタフェースを指定するには、-Iオプションにデバイス名を指定します。たとえば、ping-I wlan1 192.168.0のように指定します。

pingのオプションと使用方法の詳細は、ping-hを入力するか、またはping(8)マニュアルページを参照してください。

ifconfigを使ったネットワークの設定

ifconfigは、従来のネットワーク設定ツールです。ipと違い、このコマンドはインタフェースを設定する場合にのみ使用します。ルーティングを設定する場合は、routeを使用します。

[Note]ifconfigとip

ifconfigプログラムは廃止されました。かわりにipを使用します。

ifconfigに引数を指定しないと、現在アクティブなインタフェースのステータスが表示されます。例 30.11. 「ifconfigコマンドの出力」のように、ifconfigでは、詳細な情報がわかりやすく表示されています。この出力では、デバイスのMACアドレス(HWaddrの値)も1行目に表示されています。

例 30.11. ifconfigコマンドの出力

eth0      Link encap:Ethernet  HWaddr 00:08:74:98:ED:51
          inet6 addr: fe80::208:74ff:fe98:ed51/64 Scope:Link
          UP BROADCAST MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:634735 errors:0 dropped:0 overruns:4 frame:0
          TX packets:154779 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:1
          collisions:0 txqueuelen:1000
          RX bytes:162531992 (155.0 Mb)  TX bytes:49575995 (47.2 Mb)
          Interrupt:11 Base address:0xec80
      
lo        Link encap:Local Loopback
          inet addr:127.0.0.1  Mask:255.0.0.0
          inet6 addr: ::1/128 Scope:Host
          UP LOOPBACK RUNNING  MTU:16436  Metric:1
          RX packets:8559 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
          TX packets:8559 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
          collisions:0 txqueuelen:0
          RX bytes:533234 (520.7 Kb)  TX bytes:533234 (520.7 Kb)    
      
wlan1     Link encap:Ethernet  HWaddr 00:0E:2E:52:3B:1D
          inet addr:192.168.2.4  Bcast:192.168.2.255  Mask:255.255.255.0
          inet6 addr: fe80::20e:2eff:fe52:3b1d/64 Scope:Link
          UP BROADCAST NOTRAILERS RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:50828 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
          TX packets:43770 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
          collisions:0 txqueuelen:1000
          RX bytes:45978185 (43.8 Mb)  TX bytes:7526693 (7.1 Mb)

ifconfigのオプションと使用方法の詳細については、ifconfig-hを入力するか、またはifconfig(8)マニュアルページを参照してください。

routeを使ったルーティングの設定

routeは、IPルーティングテーブルを操作するプログラムです。このコマンドを使って、ルーティングの設定内容を表示したり、ルートを追加または削除することができます。

[Note]routeとip

routeプログラムは廃止されました。かわりにipを使用します。

routeは、総合的なルーティング情報を素早く参照して、ルーティングに関する問題を探す場合などに役立ちます。現在のルーティング設定を表示するには、rootとしてroute-nを入力します。

例 30.12. route -nコマンドの実行結果



route -n
Kernel IP routing table
Destination     Gateway         Genmask         Flags   MSS Window  irtt Iface
10.20.0.0       *               255.255.248.0   U         0 0          0 eth0
link-local      *               255.255.0.0     U         0 0          0 eth0
loopback        *               255.0.0.0       U         0 0          0 lo
default         styx.exam.com   0.0.0.0         UG        0 0          0 eth0

routeのオプションと使用方法の詳細については、route-hを入力するか、またはroute (8)マニュアルページを参照してください。

スタートアップスクリプト

前述の環境設定ファイルに加え、マシンのブート時にネットワークプログラムをロードするさまざまなスクリプトも用意されています。これらは、システムがマルチユーザランレベルのいずれかに切り替わったときに起動します。これらのスクリプトの一部は、表 30.9. 「ネットワークプログラム用スタートアップスクリプト」で説明されています。

表 30.9. ネットワークプログラム用スタートアップスクリプト

/etc/init.d/network

このスクリプトは、ネットワークインタフェースの環境設定を処理します。ハードウェアが事前に(hotplug経由で) /etc/init.d/coldplugによって初期化されている必要があります。networkサービスが起動していないと、ネットワークインタフェースは、ホットプラグ経由で挿入されたときに初期化されません。

/etc/init.d/inetd

xinetdを開始します。xinetdを使用すると、サーバサービスがシステム上で利用できるようになります。たとえば、FTP接続の開始時に必ずvsftpdを起動するといったことができます。

/etc/init.d/portmap

NFSサーバなどのRPCサーバに必要なポートマッパを起動します。

/etc/init.d/nfsserver

NFSサーバを起動します。

/etc/init.d/postfix

postfixプロセスを制御します。

/etc/init.d/ypserv

NISサーバを起動します。

/etc/init.d/ypbind

NISクライアントを起動します。