インストールの問題

インストールの問題とは、コンピュータがインストールに失敗した状態のことを指します。インストールが全体において失敗する、またはグラフィカルインストーラが起動できないという可能性があります。ここでは、通常経験するような問題のいくつかに集中して説明し、そのような場合に考えられる解決方法または回避方法を示します。

メディアの確認

SUSE Linux Enterprise Desktopインストールメディアの使用時に問題が発生した場合は、[ソフトウェア+メディアチェックの順に選択してインストールメディアの整合性をチェックします。メディアの問題は、自身で書き込むメディアで発生する可能性がより高いです。SUSE Linux Enterprise Desktopのメディアをチェックするには、メディアをドライブに挿入し、YaSTのメディアチェック画面でチェック開始をクリックします。これには少し時間がかかります。問題が検出された場合、インストール用にこのメディアを使用しないでください。

図28.1 メディアの確認

メディアの確認

ハードウェア情報

ハードウェア+ハードウェア情報を使用して、検出されたハードウェアおよび技術データを表示します。デバイスの詳細については、任意のツリーノードをクリックします。サポートを依頼するときに、ハードウェアに関する情報が必要な場合などに、このモジュールが特に役立ちます。

ファイルに保存]をクリックして、表示されたハードウェア情報をファイルに保存します。希望するディレクトリとファイル名を選択し、保存」をクリックしてファイルを作成します。

図28.2 ハードウェア情報の表示

ハードウェア情報の表示

ブート可能なDVDドライブが利用不可

お使いのコンピュータにブート可能なDVD-ROMドライブがない場合、または使用しているドライブがLinuxでサポートされていない場合、内蔵DVD-ROMドライブを使用しないでコンピュータをインストールするオプションがいくつかあります。

フロッピーディスクからのブート

ブートフロッピーを作成し、DVDの代わりにフロッピーディスクからブートします。

外付けブートデバイスの使用

BIOSおよびインストールカーネルによりサポートされる場合、外部DVDドライブから起動します。

PXE経由のネットワークブート

コンピュータにDVDドライブがない場合でも、使用可能なイーサネット接続がある場合は、完全にネットワークベースのインストールを実行します。詳細については、項 「Remote Installation via VNC—PXE Boot and Wake on LAN」 (第11章 Remote Installation, ↑Deployment Guide (導入ガイド))と項 「Remote Installation via SSH—PXE Boot and Wake on LAN」 (第11章 Remote Installation, ↑Deployment Guide (導入ガイド))を参照してください。

フロッピーディスク(SYSLINUX)からのブート

旧式のコンピュータには、ブート可能なDVDドライブはなく、フロッピーディスクドライブしかないものがあります。そのようなシステムにインストールするには、ブートディスクを作成し、それを使ってシステムを起動します。

ブートディスクには、SYSLINUXというローダとプログラムlinuxrcも含まれています。SYSLINUXを使用すると、ブート時にカーネルを選択し、使用するハードウェアに必要なパラメータを指定できます。プログラムlinuxrcは、使用するハードウェア用のカーネルモジュールのローディングをサポートし、その後インストールを開始します。

ブートディスNからブートする際は、ブート処理は、ブートローダーSYSLINUX(パッケージsyslinux)によって開始されます。システムが起動すると、SYSLINUXは、以下のステップで構成される、最小限のハードウェア検出検査を実行します。

  1. ブートローダは、BIOSがVESA 2.0準拠のフレームバッファサポートを提供しているかどうかを調べ、適宜、カーネルを起動します。

  2. モニタデータ(DDC info)が読み込まれます。

  3. 1番目のハードディスクの最初のブロック(MBR)が読み込まれ、BIOS IDとLinuxのデバイス名がブートローダの設定時に対応付けられます。ブートローダは、BIOSのlba32関数を使用して当該ブロックを読み込み、BIOSがそれらの関数をサポートしているかどうかを判別します。

SYSLINUXの開始時に、<Shift>キーを押したままにすると、上記のステップはすべてスキップされます。トラブルシューティングの目的で、

verbose 1

syslinux.cfgに次の行を挿入した場合、ブートローダは、現在実行中のアクションを表示します。

マシンがフロッピーディスクからブートしない場合は、BIOS内のブートシーケンスをA,C,CDROMに変更しなければならないことがあります。

外付けブートデバイス

Linuxでは、既存のDVDドライブはほとんどサポートされます。システムにDVDドライブまたはフロッピーディスクが存在しない場合でも、USB、FireWire、またはSCSIを通じて接続する外部DVDドライブを使用してシステムをブートできます。これは、BIOSおよびご利用のハードウェアのインタラクションに大きく依存します。問題が発生した場合、BIOSアップデートにより解決する場合があります。

インストールメディアからのブートに失敗する

コンピュータでインストールメディアが起動しない理由の1つとして、BIOS内のブートシーケンスの設定が誤っている場合があります。BIOSブートシーケンスでは、ブート用の最初のエントリとしてDVDドライブがセットされている必要があります。そうでない場合、コンピュータは他のメディア(通常ハードディスク)からブートを試みます。BIOSのブートシーケンスを変更するための説明は、マザーボードに付属するマニュアルまたは次の段落に記載されています。

BIOSとはコンピュータの非常に基本的な機能を有効にするソフトウェアです。マザーボードを供給するベンダが、独自のハードウェア用のBIOSを供給します。通常、BIOSセットアップは特別な時(マシンのブート時)にだけアクセスされます。この初期化段階の間に、マシンは数多くのハードウェア診断テストを実行します。そのうちの1つとして、メモリカウンタにより示されるメモリチェックがあります。メモリカウンタが表示されたとき、通常カウンタの下または画面の下部の辺りに、BIOSセットアップにアクセスするために押すキーについて表示されています。通常は、<Del>、<F1>、または<Esc>のいずれかのキーを押します。BIOSセットアップ画面が表示されるまでこのキーを押します。

手順28.1 BIOSのブートシーケンスの変更

  1. ブートルーチンによって宣言されたように、適切なキーを使用してBIOSを入力します。その後、BIOS画面が表示されるのを待ちます。

  2. AWARD BIOSでブートシーケンスを変更するには、BIOS FEATURES SETUPエントリを探してください。他のメーカでは、ADVANCED CMOS SETUPといった違う名前が使用されています。エントリが見つかったなら、そのエントリを選択して、<Enter>キーを押して確定します。

  3. 開いた画面で、BOOT SEQUENCEまたはBOOT ORDERというサブエントリを探します。ブートシーケンスは、C,AまたはA,Cなどのように記載されています。C,Aの場合、マシンは最初にハードディスク(C)を検索し、次にフロッピーディスクドライブ(A)を検索して、ブート可能なメディアを検出します。ブートシーケンスがA,CDROM,Cになるまで<PgUp>キーまたは<PgDown>キーを押して、設定を変更します。

  4. <Esc>キーを押してBIOS設定画面を終了します。設定を保存するには、SAVE & EXIT SETUPを選択し、<F10>キーを押します。設定が保存されていることを確認するには、<Y>キーを押します。

手順28.2 SCSI BIOS (Adaptecホストアダプタ)内でのブートシーケンスの変更

  1. Ctrl+Aを押してセットアップを開きます。

  2. ディスクユーティリティを選択します。これで、接続したハードウェアコンポーネントが表示されるようになります。

    ご使用のDVDドライブに割り当てられているSCSI IDの記録をとります。

  3. <Esc>キーを押して、メニューを閉じます。

  4. アダプタセッティングの設定を開きます。追加オプションで、Boot Device Options(ブートデバイスオプション)を選択し、<Enter>キーを押します。

  5. DVDドライブのIDを入力して、再度<Enter>キーを押します。

  6. <Esc>キーを2回押して、SCSI BIOSの起動画面に戻ります。

  7. はいを押して、この画面を終了しコンピュータを起動します。

最終的なインストールが使用する言語やキーボードレイアウトに関係なく、BIOS設定では、通常以下の図に示されているようなUSキーボードレイアウトが使用されます。

図28.3 USキーボードレイアウト

USキーボードレイアウト

ブートできない

ハードウェアのタイプ(主にかなり旧式かごく最近のタイプ)では、インストールが失敗するものもあります。多くの場合、インストールカーネル内でこのタイプのハードウェアのサポートが欠けているか、または、ある種のハードウェアに問題を引き起こすACPIのような、カーネルに含まれている特定の機能が原因の可能性があります。

最初のインストールブート画面から、標準のインストールモードを使用してインストールするのに失敗した場合、以下のことを試してみてください。

  1. DVDがドライブにまだ入った状態であれば、Ctrl-Alt-Delを押すか、ハードウェアリセットボタンを使用して、コンピュータを再起動します。

  2. ブート画面が表示されたら、<F5>キーを押すか、キーボードの矢印キーを使用して、ACPIなしを探し、<Enter>キーを押してブートおよびインストールプロセスを開始します。このオプションはACPIの電源管理技術を無効にします。

  3. 第 1 章 Installation with YaST (↑Deployment Guide (導入ガイド))の中での説明に従って、インストールを進めます。

これが失敗する場合、以上で述べた手順の代わりにセーフ設定を選択してインストール処理を続行します。このオプションはACPIおよびDMAサポートを無効化します。このオプションを使うと、ほとんどのハードウェアが起動します。

両方のオプションともに失敗する場合、ブートオプションプロンプトを使用して、ハードウェアタイプをサポートするのに必要な追加のパラメータをインストールカーネルに渡します。ブートオプションとして使用可能なパラメータの詳細については、/usr/src/linux/Documentation/kernel-parameters.txtにあるカーネルマニュアルを参照してください。

[Tip]カーネルマニュアルの取得

kernel-sourceパッケージをインストールして、カーネルマニュアルを表示します。

他にさまざまなACPI関連のカーネルパラメータがあります。それらのパラメータは、インストールのために起動する前のブートプロンプトで入力できます。

acpi=off

このパラメータは、コンピュータ上の完全ACPIサブシステムを無効にします。これはコンピュータがACPIをまったく処理できない場合、またはコンピュータのACPIが問題を引き起こしていると考えられる場合に役に立ちます。

acpi=force

2000年より前の日付が付けられた古いBIOSを持つコンピュータであっても、常にACPIを有効にします。このパラメータは、acpi=offに加えて設定された場合、ACPIも有効にします。

acpi=noirq

ACPIはIRQルーティングには使用しません。

acpi=ht

hyper-threadingを有効化するのに十分なACPIのみ実行します。

acpi=strict

厳密にはACPI仕様互換ではないプラットフォームに対する耐性が弱くなります。

pci=noacpi

新しいACPIシステムのPCI IRQルーティングを無効にします。

pnpacpi=off

このオプションは、BIOSセットアップに誤った割り込みまたはポートがある場合のシリアルまたはパラレルの問題向けです。

notsc

タイムスタンプカウンタを無効にします。このオプションを使用して、システムのタイミングについての問題に対処できます。これは最近の機能で、コンピュータに特に時間や全面的なハングなどの遅れが見られる場合に、このオプションを試す価値があります。

nohz=off

nohz機能を無効にします。マシンがハングした場合、このオプションが役に立ちます。それ以外の場合は、使用しません。

一旦パラメータの正しい組み合わせを決定したら、システムが次回適切に起動することを確実にするために、YaSTは自動的にそれらのパラメータをブートローダーの設定に書き込みます。

カーネルのロード中、またはインストール中に説明できないエラーが発生した場合は、ブートメニューからメモリテストを選択し、メモリを確認します。メモリテストがエラーを返す場合、それは通常はハードウェアのエラーです。

グラフィカルインストーラを起動できない

メディアをドライブに挿入しコンピュータを再起動した後に、インストール画面が表示されますが、インストールを選択すると、グラフィカルインストーラは起動しません。

この問題に対処する方法はいくつかあります。

  • インストールダイアローグ用に、他の画面解像度を選択してみます。

  • インストール用にテキストモードを選択します。

  • VNCを介して、グラフィカルインストーラを使ってリモートインストールをします。

手順28.3 インストール時の画面解像度の変更

  1. インストールのために起動します。

  2. F3キーを押して、インストール用に低解像度を選択するメニューを開きます。

  3. インストールを選択し、第 1 章 Installation with YaST (↑Deployment Guide (導入ガイド))の中の説明に従ってインストールを続行します。

手順28.4 テキストモードのインストール

  1. インストールのために起動します。

  2. <F3>キーを押して、テキストモードを選択します。

  3. インストールを選択し、第 1 章 Installation with YaST (↑Deployment Guide (導入ガイド))の中の説明に従ってインストールを続行します。

手順28.5 VNCによるインストール

  1. インストールのために起動します。

  2. ブートオプションプロンプトに以下のテキストを入力します。

    vnc=1 vncpassword=some_password

    some_passwordの部分はVNCインストール用に使用するパスワードに置き換えます。

  3. インストールを選択し、キーを押してインストールを開始します。Enter

    グラフィカルインストールルーチンに入るかわりに、システムはテキストモードで実行され、その後停止します。その際、IPアドレスおよびポート番号が含まれるメッセージが表示されますが、これらは、ブラウザインタフェースまたはVNCビューアアプリケーションを使用してインストーラにアクセスできるようにするために必要です。

  4. ブラウザを使用してインストーラにアクセスする場合、ブラウザを起動して将来SUSE Linux Enterprise Desktopが起動するコンピュータ上のインストール手順で与えられたアドレス情報を入力し、<Enter>キーを押します。

    http://ip_address_of_machine:5801

    ブラウザウィンドウでは、VNCのパスワードを入力するように要求するダイアログが開かれます。パスワードを入力し、第 1 章 Installation with YaST (↑Deployment Guide (導入ガイド))の説明に従ってインストールを続行します。

    [Important]

    VNC経由のインストールでは、Javaサポートが有効化されていれば、オペレーションシステムやブラウザの種類を問いません。

    プロンプトが表示されたら、VNCビューアにIPアドレスとパスワードを入力します。インストールダイアログを表示するウィンドウが開きます。通常のようにインストールを続行します。

最低限のブート画面だけが起動する

メディアをドライブに挿入して、BIOSルーチンは終了しますが、システム上でグラフィカルブート画面が開始しません。その代わりに、最小限のテキストベースのインタフェースが起動されます。これは、グラフィカルブート画面を表示するのに十分なグラフィックメモリを持っていないコンピュータを使用する場合に起こる可能性がります。

テキストのブート画面は最小限にに見えますが、グラフィカルブート画面が提供する機能とほぼ同じものを提供します。

ブートオプション

グラフィカルインタフェースとは違い、キーボードのカーソルキーを使って異なるブートオプションを選択することはできません。テキストモードのブート画面のブートメニューでは、ブートプロンプトで入力するキーワードが表示されます。これらのキーワードはグラフィカルバージョンで提供されているオプションにマップしています。任意の選択を入力し<Enter>キーを押して、ブートプロセスを起動します。

カスタムブートオプション

ブートオプションを選択したあと、ブートプロンプトで適切なキーワードを入力するか、28.2.5項 「ブートできない」の中で説明されているカスタムブートオプションを入力します。インストールプロセスを起動するには、<Enter>キーを押します。

画面解像度

Fキーを使用して、インストール用の画面解像度を判別します。テキストモードで起動する必要がある場合は、キーを選択します。